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ものがたり

この話は結婚相談所の門をたたいた35歳の女性が結婚への正しい知識を身につけ、苦難と困難を乗り越え成長したのちに幸せな結婚を手にするものがたりである。

 

登場人物

■主人公A子さん(35歳)

仕事にやりがいを持ち頑張ってきたキャリアウーマン。
年齢的にも「そろそろ結婚して子供欲しいなぁ」と考え始め、結婚に真剣な男性と出会えるという理由で結婚相談所に登録。
希望する男性の条件は「特にこだわりはない」と言いつつも、実は譲れない6つの条件を持っている。

■仲人士 髙橋宏仁(たかはしひろひと)

数多くの男女を幸せに導いてきた結婚相談のプロ。
全国の仲人士トップ100に選ばれた豊橋のカリスマ仲人士。

これまでのストーリー

年齢的にも「そろそろ結婚をして子供が欲しい」と、結婚相談所に登録したA子さん(35歳)。
数ある婚活方法の中から結婚相談所を選んだのは、時間効率を考え結婚願望のある男性とのみと出会いたいという理由から。
婚活を進めていくなかでとても大切なことは「自分と釣り合う相手を選ぶこと」だと知り、自分にお見合いを申し込んでくれた人たちに会うことを決めたA子さん。
タイプの顔の人がいなかったが「会ってから判断する」事の大切さを仲人士から教わり、お見合いする相手を選ぼうとするのだが・・・

 

第11話 「相手への希望条件で自分が不幸になる」

 

前回の面談から3日が過ぎたころ、A子さんから連絡がありました。

 

「高橋さん、この人の申し込みを受けようと思うんですが・・・」

 

A子さんの第一声はなんとも歯切れの悪い言い方だった。
それもそのはず、A子さんがお見合いを受諾したのはたったの一人だったのである。

 

「A子さん、10人の男性からお見合いの申し込みが来たので、半分の5人くらいは申し込みを受けてねって言ったよね」

 

「そうなんですが・・・
やっぱり色々考えると自分の理想と違うというか・・・
いや、少しくらい違ってもいいかなとは思えたんですが、2つも3つも条件が違うとなるとどうも・・・」

 

ありゃりゃ、また振出しに戻っちゃったようですね(笑)
でも無理はないですよね。
人生一度の結婚で失敗はしたくないですよね。
後悔をしたくないですよね。
だから結婚相手には希望や条件を求めちゃいますよね。
その気持ちはよーーーーくわかります。

でもね、それじゃ相手が見つからないんですよ。
仮に見つかったとしても、それで幸せになれるかどうかは別問題。
これはもう直接A子さんに伝えるしかありません。

 

「A子さん少し会って話をしませんか?」

 

A子さんとその日の夕方に会う約束をし、
「幸せな結婚」をするための極意を伝授することにしました。

「やあどうも」

「よろしくお願いします。
私また説教されちゃうんですよね?(笑)」

 

「説教ではないですよ(笑)
ひとつのアドバイスというか考え方を教えようかなと。」

「考え方?」

 

「そう。一つの考え方なので別にそれを強制はしないし、それが絶対正しいとも言わない。
ただ、私は仕事上いろいろな人の話を聞くことがあるし、私自身も結婚と離婚を経験し100冊以上の結婚関連書籍を読んで、幸せな結婚をするにはどうしたらいいのかということを研究してきました。
そこから導き出した幸せな結婚をする方法。聞きたくないですか?」

「聞きたいです!」

 

いよいよ幸せな結婚をする極意の伝授です!

 

 

「A子さん、入会面談の時に相手の希望条件を言ったことを覚えていますか?」

「はい覚えています」

 

A子さんが希望する男性の条件は次の通り

  • 結婚後も仕事を続けさせてくれる
  • 自分より年収が高い男性
  • 同世代の男性
  • 男性の両親との同居は嫌だ
  • 長男も嫌だ
  • 同じ地域の男性

 

「その時に希望条件を6つ言ったけど、
その後に私が言った言葉は覚えていますか?」

「え?その時にですか?
・・・覚えていません。」

 

「わかった、じゃぁもう一度聞くね。
A子さんはその6つの条件に合った男性じゃないと幸せになれないのかな?

 

しばらくの沈黙・・・

 

「幸せかどうかでは考えていないですが、自分の人生を計画した時に、そういう相手がいいなと思いました。」

 

「では逆で考えてみましょう。
その条件以外の男性と結婚して幸せになれそうですか?」

 

「幸せかどうかはわかりませんが、苦労はしますよね。」

 

「その苦労に幸せを感じることはできますか?」

 

「苦労に・・・?
苦労に幸せなんて感じられないですよ。」

 

「それはつまり、
“条件に合わない男性と結婚すると結婚生活に苦労するから幸せを感じられなくなる”
ということになりませんか?」

 

「そうですね、そうとも考えられますね。

 

ついにA子さんの本心が現れました。
自分がなぜその希望条件を出すのかということを掘り下げて考えていくと、そこに本心が隠れているのです。

「気づいていないかもしれませんが、結婚相手に希望条件を出すということは、
『その条件に満たない相手では私は幸せになれない』
と言っているようなものなんですね。」

 

「そうだとして、それが何か問題あるのですか?」

 

「大問題なんですよ。」

 

「だって結婚相手は誰でもいいなんて言う人いませんよね?
みんな何か相手に条件というか希望があるわけで、それだとみんな大問題じゃないですか。」

 

「そうなんです。だから大問題なんです。」

 

「えぇ~!?どういうことですか?」

 

「“結婚相手の条件は〇〇がいい”という希望を出すというのは、自分の幸せの基準をそこに作ることになってしまいます。

何が幸せで何が不幸かというのは誰かが決めるものではありません。
絶対的な基準は無いので自分で自由に決めることができます。
それなのに、わざわざ『相手の条件は〇〇だ』と決めることにより、自分の幸せの基準を高くしてしまい、少しのことでは幸せを感じられない人になってしまうのです。」

 

「幸せの基準ですか・・・考えたことないです。」

 

「幸せの基準を『〇〇の条件を満たした人との結婚』
と決めてしまった人は、結婚するだけでは幸せになれないんですね。
幸せになるのがとても難しい人になってしまいます。」

 

「でも、もしその条件を満たした人と結婚できれば幸せになれるんですよね?」

 

「そうですね、その時は幸せでしょうね。
でも一度作ってしまった基準ってなかなか変えられないんですよ。
結婚した相手が一生その条件を満たしてくれればいいのですが、そんな保障はないでしょう?

例えば年収。
『相手の年収は〇百万円以上を希望』とした場合、結婚後にその年収を下回ったとたんに不幸になります。
今や大企業でもつぶれる時代です。
いつリストラや賃金カットにあうかもわかりません。
もしかしたら独立起業をして年収が下がることもあるかもしれません。
自分の幸せを年収〇百万円以上と決めてしまった瞬間、不幸になるリスクを背負うことになるのです。」

 

「不幸になるリスクですか?」

 

「そうです、幸せの基準を決めてしまうということは、逆にいうと不幸の基準を作ってしまうことになるのです。
基準が高ければ高いほど、基準が多ければ多いほど、その人は不幸になる確率が高くなりますよね。」

 

「確かに。幸せの基準をどれか一つでも下回ってしまったら、不満や不安を持つようになると思います。」

 

「他の項目もそうです。
『顔がタイプの人がいい』として、その人と結婚できたとしても、その人がかっこいいまま年をとるとは限りません。

『介護が嫌だから長男以外がいい』として次男と結婚できたとしても、長男が面倒を見ず次男夫婦が面倒を見ることになるかもしれません。

『仕事を続けさせてくれる人がいい』として、その人と結婚できたとしても、子供の生まれるタイミングだったり病気の子供が生まれたり、旦那の仕事の都合で自分の仕事が続けられなくなるかもしれません。

『同じ地域の人がいい』として、地元の相手と結婚できたとしても、転勤や引っ越しで地元を離れないといけなくなる日が来るかもしれません。

人生は何が起こるかわかりません。
自分の人生ですら確信がないのに、相手の人生はもっとわかりません。
それなのに、自分の幸せの基準が相手に依存していたらどうですか?
幸せであり続けることがとても難しいと思いませんか?
相手が結婚後も自分の希望通りに生きてくれなければ幸せになれない、そんな可能性の低い幸せを求めるのが、相手に条件を出す結婚なのです。」

 

「リスクになるんですね・・・。」

 

「A子さん、ここにA子さんの幸せを決めるハンドルがあるとします。
いつでも好きなように動かせて自分を幸せにも不幸にも自由にできるとします。
さて、そのハンドルを他人に渡しますか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の幸せを決めるハンドル

 

「いや、渡さないですよね。当然ですよね(笑)」

 

「ですよね(笑)
自分の幸せが相手次第なんて嫌ですよね。

じゃぁもう一つ聞きます。
この自由に動かせるハンドル、A子さんならどうしますか?」

 

「え、それはもちろん幸せの方にハンドルを切りますよ。」

 

「そうですよね、自ら進んで不幸になりたい人なんてこの世にいないので、当然幸せになるようハンドルを切りますよね。

でも、実はほとんどの人が幸せの方にハンドルを切っていないんですよ!」

 

「ええ!?そんな馬鹿なことがあるんですか?」

 

幸せのハンドルとは、幸せと不幸を自由に行ったり来たりできるハンドルです。
しかもみんながそれぞれ自分のハンドルを持っています。
そのハンドルによって、人は誰でも自分を幸せにも不幸にもできるのです。
でも、世の中はみんなが幸せに包まれて生きているわけではありません。
なぜでしょうか?

 

実はそこに婚活と結婚の極意があります!

次回「幸せのハンドル」おたのしみに~

 

 

 

→成婚体験談「魅力探し編」第12話へ

※この話は実話をもとに、登場人物が特定されないよう脚色してあります。

仲人士 高橋宏仁

結婚相談のプロとして、幸せな結婚、そして幸せな結婚生活を送るための秘訣をアドバイスし多くの会員を幸せに導いている。

NPO法人全国結婚相談業教育センター正会員

日本仲人協会 豊橋南支部長

高橋宏仁結婚相談室 代表

 

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