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ものがたり

この話は結婚相談所の門をたたいた35歳の女性が結婚への正しい知識を身につけ、苦難と困難を乗り越え成長したのちに幸せな結婚を手にするものがたりである。

 

登場人物

■主人公A子さん(35歳)

仕事にやりがいを持ち頑張ってきたキャリアウーマン。
年齢的にも「そろそろ結婚して子供欲しいなぁ」と考え始め、結婚に真剣な男性と出会えるという理由で結婚相談所に登録。
希望する男性の条件は「特にこだわりはない」と言いつつも、実は譲れない6つの条件を持っている。

■仲人士 髙橋宏仁(たかはしひろひと)

数多くの男女を幸せに導いてきた結婚相談のプロ。
全国の仲人士トップ100に選ばれた豊橋のカリスマ仲人士。

これまでのストーリー

年齢的にも「そろそろ結婚をして子供が欲しい」と、結婚相談所に登録したA子さん(35歳)。
数ある婚活方法の中から結婚相談所を選んだのは、時間効率を考え結婚願望のある男性とのみと出会いたいという理由から。
婚活を進めていくなかでとても大切なことは「自分と釣り合う相手を選ぶこと」だと知り、自分にお見合いを申し込んでくれた人たちに会うことを決めたA子さんだったが、
自分の希望条件から外れる男性ばかりでお見合いに踏み込めず尻込みをしてしまう。
そんな時に仲人士から「幸せのハンドル」の話を聞くことに。

 

第12話 「幸せのハンドル」

 

人は皆「幸せのハンドル」を持っています。
それは自分の幸せと不幸を自由に決められるハンドルです。

しかし、どちらに行くのも自由なはずのに、
多くの人は不幸にハンドルを切っているという現状。
あなたはどう思いますか?

 

 

 

 

 

 

 

 

「A子さん、あなたはこの幸せのハンドルを、

  • 誰にも渡すことはない
  • 幸せの方にハンドルを切る

と言いましたね?」

 

「はい。
だって自分の幸せを決めるハンドルなんですよね?
それなら他人には渡さず自分で持つに決まっていますし、
幸せと不幸だったら、そりゃ幸せの方にハンドルを切るに決まってますよ。」

 

「じゃぁ質問です。
次に挙げる男性の内、結婚したいと思えるラインはどこですか?

 

1.世界一のお金持ち、世界一のイケメン、世界一優しい、という男性

――――――――――――― A ―――――――――――――

2.年収1000万以上、どストライクの顔、優しくて面白い、という男性

――――――――――――― B ―――――――――――――

3.平均以上の年収、タイプの顔、優しくて価値観が合う、という男性

――――――――――――― C ―――――――――――――

4.平均年収、タイプではないが悪くはない顔、価値観が合う、という男性

――――――――――――― D ―――――――――――――

5.年収300万円、清潔感はあるがイマイチの顔、会話は普通、という男性

――――――――――――― E ―――――――――――――

6.フリーター、ムダ毛が出てる、イマイチ会話が合わない、という男性

――――――――――――― F ―――――――――――――

7.無職、不潔、生理的に無理、という男性

大雑把でいいので、ここが結婚相手としての分かれ目!
というラインを教えてください。」

 

「え~、これ試されてるやつじゃないですか。
どうせ高望みしたら怒られるやつでしょう?(笑)」

 

「いいから(笑)、素直な気持ちで選んで!」

 

「ん~、そりゃぁ選べるならやっぱりDですよね。
できれば平均以上の人がいいです。」

 

「ほうほう、D以下の男性とは結婚したくないんですね?ファイナルアンサー?」

 

「・・・え?あっ、いや違います!
市場価値!自分の市場価値と釣り合う相手を選ぶことが大切でした!
思い出しました!だからE
Eでどうでしょうか!」

 

「ファイナルアンサー?」

 

「ファイナルアンサー!!」

 

「・・・・・・・・・(じーっ)」

 

「・・・・・・・・・(ゴクリ)」

 

「正解!!」

 

「やったー!
・・・って、これなんなんですか?(笑)」

 

「あはは、実はこれね、どれを選択しても正解です(笑)」

 

「ちょっと、どういうことですか?(笑)
市場価値の合う相手を選ぶことが大切って言いましたよね?」

 

「そうです、同じ市場価値の相手を選ぶことが大切です。
でもね、もう一つ大切なことがあるんですよ。

今、私は『どれを選んでも正解』だと言いました。
これが実は“幸せのハンドル”なのです。

A~Fのどこにハンドルを切るのか、
それはハンドルを握っている人の自由ですし、
また、これによってその人の幸せと不幸が決まるのです。」

 

「どれを選ぶかで幸せか不幸か決まる??
じゃぁ、私が選んだEは幸せなんですか?不幸なんですか?」

 

「それはまだわかりません。
でも一つだけわかることがあります。
それは、E以上の男性と結婚できないと不幸になるということです。」

 

「これはさっき言っていた“幸せの基準”のことですか?」

 

「そうです。
Eのラインを選んだことで、あなたの幸せの基準がそこにできます。
それにより、Eライン以上の男性と結婚しないと幸せになれないだけでなく、
結婚した男性がその基準を下回った途端に不幸になってしまいます。

ハンドルはどこに切ってもいいのです。自由です。
世界一の男性と結婚したいと決めてもいいのです。
でも、もしそれが叶わず世界で2番目の男性としか結婚できなかったら、
その結婚は不満のあるものとなり、幸せは感じられないでしょう。
そして、仮に世界一の男性と結婚ができたとしても、
幸せの基準は世界一にあるわけですから、
何か一つでも世界一から落ちてしまえば、
たちまち不幸へ堕ちてしまいます。」

 

「それじゃぁAのラインを選ぶということは、
不幸の方にハンドルを切ることになるんですね。」

 

「もちろん必ず不幸になるとは決まっていません。
世界一の男性と結婚できて、
その男性が世界一であり続ける可能性はゼロではないからです。
ただ、そのAラインを選ぶことにより、

Aライン以下の状態はすべて不幸だ

と、自分で決めることになってしまうので、
不幸になる範囲を自ら広げる結果になります。」

 

「ということは、不幸っていうのは全部自分のせいなんですか?」

 

「おっ、理解が早いですね。
全ての不幸は自分がそれを“不幸”と決めたのが原因なんです。
実際の問題で考えてみましょう。
ちなみに今、A子さんが不幸だなと感じていることは何かありますか?」

 

「そうですね、不幸というより不満に近いんですが、
長期連休が取れない仕事なので旅行に行けないことですかねぇ。」

 

「なるほど、つまり〇日間以上連休が欲しいと思っているんですね。
そして、それよりも少ない連休しか取れないのが不満だと。」

 

「そうですね。具体的には5日間の連休が欲しいですね(笑)」

 

「では聞きますが、その5日間という数字は誰が決めたものですか?」

 

「え、自分です。」

 

「そうですよね。
他の人から『連休というのは5日は必要』と定義されたわけではないですよね。
自分が『連休は5日ないとダメ』と勝手に決めて、
それに満たない現状に不満を感じているんですよね。

これが『連休は5日間』という方向へ幸せのハンドルを切った結果なのです。」

 

「そういうことですよね。
『連休は3日間あればいい』という方向へ幸せのハンドルを切っていれば、
それが満たされ私は幸せになれているんですから。」

 

「そうですよ、『3日間』でも『5日間』でも選ぶのは自由。
ハンドルをどの方向へ切るかなんて自由なんです。
選び方によって幸せにも不幸にもなるんです。」

 

「同じ現実なのに、幸せか不幸かなんてハンドル次第なんですね。」

 

「そこが理解できるようになると幸せな結婚ができますよ!
あとはそのハンドルを他人に渡さず自分でしっかりと握ることです。」

 

「自分の幸せを決めるハンドルですよね?
他人に渡すなんてことする人いるのですか?」

 

「います!います!ビックリするくらいいます!(笑)
というか、いま私の目の前にもいます(笑)」

 

「ええ?私ですか!?」

 

「さっき話した『自分の幸せの基準を相手に依存するな』というのは覚えていますか?」

 

「はい。
年収でもなんでも相手に希望条件を出してしまうと、
自分の幸せが相手次第になってしまうという話でしたよね。

・・・あ!そういうことですか!」

 

「気づきましたね。
婚活では相手の希望条件を色々出してしまいます。
例え100%条件の合う相手と結婚できたとしても、
結婚後もその条件が守られ続ける保障はどこにもありません。
いろいろな条件を出してそれに合った人と結婚をするということは、
その相手に自分の幸せのハンドルを渡しているようなものです。
相手がその条件に合うよう生きてくれれば自分は幸せだが、
違う生き方をされてしまうと自分は不幸になってしまうのです。

人は皆『幸せになりたい』と願っているのにもかかわらず、
自分の幸せのハンドルを不幸の方向へと切り、
また、ハンドルを自分では握らず人に渡しているのです。」

 

「そんな恐ろしいことを・・・」

 

「A子さんいいですか。
幸せのハンドルをどっちに切るのかは自由です。
自分の幸せはどのライン以上かというのは自由に決められるのです。
それによって幸せか不幸かが決まります。
ある人と結婚をして、
『ステキな人と結婚できたなぁ幸せだなぁ』と思うのか、
『結婚はできたけど妥協しちゃったなぁこれでよかったのかなぁ』と思うのか、
どちらになるかは自分次第、ハンドル次第なのです。

そして、結婚相手に対して条件があるのは当然だと思います。
だけどその条件が高ければ高いほど、多ければ多いほど、
自分の幸せが相手に依存していることになります。
それは、自分の幸せを決めるハンドルを相手に渡して、
『お願いだから幸せの方に進んで~』と祈っているようなものです。
人間だから操作ミスもあるでしょう。
人によってどっちが幸せなのか違う場合もあるでしょう。
残念ながら自分の思い通りの方向には決して進まないのです。

条件を出すことは決して悪いことではありません。
それに固執してしまうのが良くないのです。

『本当にその条件は自分の人生に必要なのか』
『その条件じゃないと自分は本当に幸せになれないのか』
と、もう一度よく考えて自分に問いただしてみてください。

あとは前に言った通り、
条件と違う相手だったとしても、
それ以外の魅力で好きになることはよくあります。
紙だけの情報で相手を判断するのではなく、
実際に会って目で見て会話をして確認することが大切です。」

 

「わかりました。
自分の出した条件をもう一回見直し、お見合い相手を選び直したいと思います。」

 

嫌々結婚する人はほとんどいないでしょう。
みんな愛し合って結婚をしているのです。
それなのにどうしてこんなに離婚率が高いのでしょうか。

それは「いいな」と思って結婚した相手が「やっぱり違う」となってしまったからです。

  • こんなことになるとは思わなかった
  • こんな人だとは思わなかった
  • 結婚して環境が変わってしまった
  • 幸せなんて感じないし、もう我慢の限界

そのすべては「相手が自分の思い通りになってくれない」というものです。
自ら不幸の方へハンドルを切っておきながら、
ハンドルを相手に勝手に渡しておきながら、
自分の不幸を嘆き離婚をするのです。

離婚は壮大な自作自演です

いくら幸せな結婚ができたとして、
この幸せのハンドル操作が誤っていれば、
それは幻に過ぎないのです。

正しい婚活こそが幸せな結婚生活につながっているのです。
さて、A子さんは考え方を変えることができるでしょうか。
次回もお楽しみに!

 

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※この話は実話をもとに、登場人物が特定されないよう脚色してあります。

仲人士 高橋宏仁

結婚相談のプロとして、幸せな結婚、そして幸せな結婚生活を送るための秘訣をアドバイスし多くの会員を幸せに導いている。

NPO法人全国結婚相談業教育センター正会員

日本仲人協会 豊橋南支部長

高橋宏仁結婚相談室 代表

 

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