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ものがたり

この話は結婚相談所の門をたたいた、35歳の女性が結婚への正しい知識を身につけ、苦難と困難を乗り越え成長したのちに幸せな結婚を手にするものがたりである。

登場人物

■主人公A子さん(35歳)

仕事にやりがいを持ち頑張ってきたキャリアウーマン。
年齢的にも「そろそろ結婚して子供欲しいなぁ」と考え始め、結婚に真剣な男性と出会えるという理由で結婚相談所に登録。
希望する男性の条件が6つもあったが、仲人士の指導のもと以下の条件に変更をして結婚相手を探すことに。

  • 結婚後も仕事を続けさせてくれること
  • 相手の年齢は12歳上まで
  • 県内のお相手

■くまさん(41歳)

A子さんの二人目のお見合い相手。
スペックは以下の通り。

  • 身長181センチ、体重90キロ、口ひげを生やし熊みたい
  • 会社員で年収は500万円
  • 長男(兄弟は妹1人)
  • 県内在住(親と同居)
  • 趣味はドライブとおいしいもの巡り
  • 婚歴無し

■仲人士 髙橋宏仁(たかはしひろひと)

数多くの男女を幸せに導いてきた結婚相談のプロ。
全国の仲人士トップ100に選ばれた豊橋のカリスマ仲人士。

これまでのストーリー

年齢的にも「そろそろ結婚をして子供が欲しい」と、結婚相談所に登録したA子さん(35歳)。
数ある婚活方法の中から結婚相談所を選んだのは、時間効率を考え結婚願望のある男性とのみ出会いたいという理由から。
婚活を進めていくなかでとても大切なことは「自分と釣り合う相手を選ぶこと」だと知ると共に、6つもあった相手への希望条件を3つも取り下げ、たくさんの人と会うことを決意。
そして自分にお見合いを申し込んでくれた人たちに会うことを決めたA子さんは、人生で初めてのお見合いを無事に終えることができました。
2人目のお見合い相手は「くまさん」。
あまり会話が盛り上がらなかったが、もう一度会うことを決め「交際希望」を出したA子さんですが、はたしてくまさんの返事は・・・。

 

第21話 「業務連絡をせよ!」

今まで恋愛しかしてこなかった人が、お見合い結婚の道で必ずつまづいてしまうのが「交際」です。
なぜなら、好きになってから交際を始める恋愛とは違い、お見合いでは「もう一度会ってもいい」が交際のスタートだからです。
「もっと気持ちが高まる相手じゃないと交際に入れない」「好きでもない相手と交際だなんて・・・」というように、恋愛とお見合いでの交際を同じように考え、何度お見合いをしても誰とも交際に入らずに退会をしていく人が本当にたくさんいます。

もちろん会った瞬間にお互いが相手のことを「運命の人だ」と感じ、恋愛のような交際に突入して結婚に至るケースもあります。
でも、そんな例はごく一部です。
なぜなら一瞬で「運命の人だ」と見抜く能力なんて誰もが持っているわけではないからです。

このように「たまたま運命の人だと気づいた人」と、あとは「とりあえずもう一度会ってみようと思って交際してみたら、後から運命の人だと気づけた人」だけが結婚を手に入れているわけです。
しかし、多くの人はさも自分には運命の人を一瞬で見抜く力があるかのように振舞い、お見合いでピンとこなければすぐに「お断り」をし、「いい人がいなかった」「運命の人がいなかった」「自分にはこのシステムが向いていない」などと言って辞めていくのです。

その点でA子さんはすばらしい決断をしました。
もちろん仲人士である私の後押しがあったのですが、「まだ全然好きでも気にもなっていないけれど、相手のことがまだわからないからもう一度会って話をしてみよう」と思い交際希望を出したのです。
この行動こそが、結婚を近づける大きな一歩になるのです。
あとは、相手の返事次第です。

 

A子さんの交際希望を相手の仲人の先生に伝えるために連絡をしようとしたところ、すでに相手側の返事が届いていました。

仲人士「どれどれ」

(!!!)

「相手も交際希望じゃん!
よっしゃー、すぐにA子さんへ連絡しなくては。」

 

「A子さん、相手のくまさんも交際希望だったよ。」

A子さん「本当ですか?よかったです。」

「じゃーくまさんの連絡先を教えるので、連絡が来るのを待っててね。」

「わかりました。それで私はこれからどうすればいいのですか?」

「くまさんから電話があると思うので、『今日はありがとうございました』ってお礼を伝えて、次に会う約束をしてください。」

「もうここからは二人でのやり取りですか?」

「そうですね、お互い交際希望ということなのでここからは二人の自由になるのですが、A子さんとしてもお見合いからの初めての交際なので、最初のうちは状況を報告してもらえますか?
そうすればいろいろなアドバイスができるかと思います。」

「わかりました。では次の約束が決まったら連絡をすればいいでしょうか?」

「はい、そうしてください。
あと最初の会う約束ですが、お見合いのようなお茶をするだけか食事をするだけの約束がいいと思います。
まだお互いにわかり合えていない仲ですので、いきなりデートのような丸一日の約束だと、途中からしんどくなってしまうかもしれないですからね。」

「確かにそれは心配ですね。」

「そして、LINEでのやり取りをするようになると思いますが、次の約束で会うまでは業務的な内容だけにしておいてね。」

「業務的とはなんですか?」

「次に会う日時や集合場所を決めるための必要最低限の連絡という意味です。」

「なぜそれ以外の会話をしてはいけないのですか?」

「お見合いで二人はあまりしゃべれなかったんですよね。
まだ打ち解け合っていないそんな二人が文字でやり取りをしようとすると、必ず誤解が生じるからです。」

「でもLINEの方が緊張もなく話がしやすいと思うのですが」

「確かにLINEは相手の顔を見ずに文字でやり取りできるので、緊張することもないし、時間をかけて文章を考えられるし、本音も話しやすいというメリットがあります。
しかし、それ以上にデメリットが大きいんですよ。」

「さっき言われた『誤解しやすい』ということですか?」

「そうです。文字でのやり取りは表情や感情が相手に正確に伝わらないので、一つの言葉にたくさんのニュアンスが存在してる中で、こちらの意図しない意味に捉えられてしまう恐れがあるのです。
冗談で言った言葉を本気に取られてしまったり、逆に本気で言った言葉を冗談だと受け止められたリすることが起こってしまいます。
A子さんも友達とLINEした時に『えっ、これどういう意味で言っているんだろう』と相手の発言に驚いたことや、『え、そういう意味で言ったんじゃないのに』と自分の気持ちが相手にちゃんと伝わっていないなと感じたことはないですか?」

「ありますね・・・」

「そうでしょう。それが普通なのです。
仲の良い友達であっても誤解は生まれてしまうのです。
だから、ある程度仲良くなって相手のことを理解した上でないと、文字によるやり取りはしないほうがいいのです。」

「わかりました。お互いに誤解し合って別れるなんて悲しいですよね。」

「そうですよね。
さらに言うと、人には好みというものが存在します。
メッセージの送信頻度や返信時間、文章の量から絵文字やスタンプを使う使わないに至るまで人それぞれ好みがあります。
たくさんメッセージを送ってくる人に『うざい』と思う人もいれば、少ないことで『好意が無いんじゃないか』と不安になる人もいますし、文字が多くて『重いっ』と思う人がいる一方で、文字が少なくて『冷たい』と感じる人もいるのです。」

「確かにその辺の好みは人それぞれですよね」

「そうです。相手の好みが分かっていないうちにLINEをするということは、相手の地雷というか、減点ポイントを踏みやすくなるということです。
文字でのやり取りで好意を上げることは難しいのに、減点されて嫌われるのはすぐなのです。
こんなリスクがあるものを使うのは怖いですよね。」

「えっ、文字でのやり取りでは好意が上がらないんですか?」

「ある程度信頼関係が結べていれば好意を上げることはできますが、出会って間もない関係ならとても難しいですね。
その証拠に、今マッチングアプリというのが流行っているでしょう?
あれ毎日何万組もマッチングしてるのに、みんな全然交際までいかないんですよ。」

「スマホのアプリで出会いを探せるやつですよね、知ってます。
この前の話に出た婚活パーティーに行きまくっている友達がやってます(笑)」

「その子なんでもやってますね(笑)すばらしいと思います。
それで、なぜアプリでマッチングはされるけど交際にはなかなか入らないのかといえば、最初っから文字でのやり取りだからなんです。
初対面の相手と文字だけでやり取りをする。
そんなやり方で上手くいく人は『たまたま文字でのやり取りの好みがお互いに同じだった』か『文章がうまい人』だけなんですよ。」

「あぁ~確かに。その友達も『マッチングしてメッセージのやり取りはしたけど、実際に会う気にはなれなかった』とか、『話し方がウザくて無理』とか言ってまだ誰とも会っていないと言っていました。」

「そういうことです。文字のやり取りで気持ちは上げにくいから“会う”という行動までできないし、メッセージの好みが違うと“なんか嫌だ”となってしまうのです。
その友達もせっかく活動しているのになかなか成果が出なくて大変ですね。」

「私よりもずっと前から婚活頑張っているのに、いまだいい出会いはないみたいですね。」

「婚活には色々手段があるけど、それぞれに正しいやり方というものがあるからね。
それを知らないといつまで経っても結婚できずにお金と時間だけが無くなっていってしまうんですよ。」

「えーっ、友達に何かアドバイスしてあげたいんですけど、何かありますか?」

「それじゃ、これもコツをメールしておくので友達に教えてあげて。」

「ありがとうございます(笑)
でもコツがあるなら私も婚活アプリをやった方がいいですかね?」

「そうですね、出会いのチャンスが少しでも増えるのはいいことだと思うので、時間があればやってみればいいと思うのですが、今のA子さんにはあまりお勧めはできません。」

「え、なんですか?何かよくないことでもあるんですか?」

「成果を出すのに時間がかかりますよ?大丈夫ですか?」

「嫌です!」

「ですよね(笑)
とりあえず友達向けにマッチングアプリのコツをメールするので、それを読んでみてできそうならやってみたらいいと思いますよ。」

「なるほど、そうします。」

「じゃぁとりあえずくまさんと連絡を取り合ってもう一度会って話をしてきてください」

「はい、また約束が決まったら連絡します」

実は交際決定後のメールやLINEのやり取りが原因で交際終了になることが多くあります。
「こんな人だとは思わなかった」「よく考えたらなんか違う気がしてきた」そんな理由で交際終了になってしまうのです。

違うのです!
文字でのやり取りで、すれ違いや誤解をしているだけなのです。
実際に会って、目の前で話した相手の姿こそが本物で、メールやLINEのやり取りで判明した相手の姿というのは、偽りの姿なのです。
それなのに、メールやLINEをしたことで「相手の本当の姿」を知った気になって、「こんな人だとは思わなかった」「よく考えたらなんか違う気がしてきた」と言い出してくるのです。

最初はもう業務連絡しかしちゃダメ!

実はとても重要なアドバイスだったのです。
さて、A子さんとくまさんの恋の行方はどうなるのでしょうか・・・

 

→成婚体験談「魅力探し編」第22話へ

※この話は実話をもとに、登場人物が特定されないよう脚色してあります。

★ブログのまとめ記事「結婚する方法」はこちら

仲人士 高橋宏仁(たかはし ひろひと)

結婚相談のプロとして、幸せな結婚、そして幸せな結婚生活を送るための秘訣をアドバイスし多くの会員を幸せに導いている。
活動が認められ、2017年NPO法人全国結婚相談業教育センターより全国のトップ仲人士100に選出される。

内閣府認証NPO法人全国結婚相談業教育センター正会員

日本仲人協会 豊橋南支部長

高橋宏仁結婚相談室 代表

 

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