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ものがたり

この話は結婚相談所の門をたたいた35歳の女性が結婚への正しい知識を身につけ、苦難と困難を乗り越え成長したのちに幸せな結婚を手にするものがたりである。

 

登場人物

■主人公A子さん(35歳)

仕事にやりがいを持ち頑張ってきたキャリアウーマン。
年齢的にも「そろそろ結婚して子供欲しいなぁ」と考え始め、結婚に真剣な男性と出会えるという理由で結婚相談所に登録。
希望する男性の条件は「特にこだわりはない」と言いつつも、実は譲れない6つの条件を持っている。

■仲人士 髙橋宏仁(たかはしひろひと)

数多くの男女を幸せに導いてきた結婚相談のプロ。
全国の仲人士トップ100に選ばれた豊橋のカリスマ仲人士。

これまでのストーリー

年齢的にも「そろそろ結婚をして子供が欲しい」と、結婚相談所に登録したA子さん(35歳)。
数ある婚活方法の中から結婚相談所を選んだのは、時間効率を考え結婚願望のある男性とのみと出会いたいという理由から。
ぜいたくを言ったつもりもないが、結婚相手への条件を6つ挙げたところ、「そんなに条件を出すとお見合いが組みにくくなるよ」と仲人士から言われてしまう。
しかし結婚に対して絶対に妥協をしたくないA子さんは、「それでもその条件は譲れない!」と口答えをし、すべての条件に合う男性にお見合いの申し込みをするが、断られてしまう。
結婚は相手への条件も大切だが、もっと大切なのは「自分と釣り合う相手を選ぶこと」だと知り、自分にお見合いを申し込んでくれた人たちに会おうと思い始めたA子さんだが・・・

 

第9話 「タイプの顔」

「これがA子さんにお見合いを申し込んでくれた男性です」

そう言って10名ほどの男性のプロフィールを私が見せると、A子さんはパラパラと一通り目を通します。
どうやら写真を見ただけのようでした。
彼女の感想はたったの一言。

「高橋さん・・・、この中にタイプの人はいないです・・・。」

あれだけ条件だけで判断して相手に会わないのはダメだよと言ったにもかかわらず、いざ相手のプロフィールを見てしまうと自分のワガママが出てしまいます。
人間なんてそんなものです。
だからここで背中を押す人が婚活には必要なんですね。

「A子さん。私はあなたの顔の好みは知りません。
あなたが自分のタイプの人はいないと言うのであれば、きっとこの中にはあなたの理想とする外見の男性はいないのでしょう。
でもちょっと待って。
確かに、この男性の中に外見がタイプの人はいないかもしれない。
でも、運命の人はいるかもしれないよ?」

この世で結婚をした人で、果たして自分のタイプの顔の相手と結婚した人はどれほどいるでしょうか。
もちろんタイプの顔ということで相手のことを好きになり、交際から結婚へ発展するケースはあるでしょう。
でも、実はそんな人たちは一部に過ぎないのです。
仮に「相手の顔がタイプじゃないと結婚はしない」とみんな思っていたらどうでしょうか。
人のタイプは色々あるにしろ、一部のイケメンと美人しか結婚できなくなると思いませんか?
でも現実にはたくさんの人が結婚をしているのです。
それはなぜか。それは、顔がタイプかどうかということより、一生この人と一緒に生きていきたいと思う気持ちの方が結婚をする上では勝るからです。

 

「そうですよね、会ってみないとわからないですよね。
会ってみてそれ以上の魅力を見つけることができれば、“この人と結婚したい”と思えるんですよね。」

 

「例えタイプの顔じゃなかったとしても、好きになってしまうと案外その顔が好きになってしまうものです。

  • 何かに集中している真剣な顔
  • 子供のような無邪気な顔
  • ほほ笑みながら自分のことを好きだと言ってくれる顔

そのすべてが愛しくなるんですよ。」

 

「でも顔で選んじゃダメって頭でわかっていても、タイプじゃない人に会うのは腰が重いというか、
なかなか乗り気にならないんですよね・・・
この10人の中から誰を選ぼうかなぁ・・・。」

 

婚活をする人が一番多くハマってしまう罠、それは相手を顔で選んでしまうということです。
性格や価値観が合うかどうかは結婚においてとても重要なことですが、それを見抜くにはそれなりの時間と手間がかかってしまいます。
しかし、顔だけは違います。
パッと見た瞬間に好きか嫌いか簡単に判断できてしまうのです。
簡単に判断できてしまうために、多くの人が相手を顔で選んでしまうようになるのです。

そしてもう一つ、顔で判断しようとしてしまう原因があります。

それは婚活に対する勘違いが原因です。

 

「A子さん。もしかして好きになりそうな人を選ぼうとしていませんか?」

 

「え?当たり前じゃないですか。何を言っているんですか?
結婚相手を探しているんですから自分の好きになる人を探しているんですよ。
好きになれなかったら結婚なんてできないですよね。」

 

「もちろん結婚はお互いに好きになってするものです。
しかも婚活は普通の恋愛とは違い結婚までがすごく早いです。
だからどうしても“好きな人探し”になってしまいがちですが、それは大きな勘違いです。」

 

「勘違い?好きになる人を探しちゃダメなんですか??」

 

「好きになる人を探すということは一目惚れを求めるようなものです。
そんな探し方をすれば、当然顔がタイプの人しか選べなくなりますし、それだけじゃなく相手に実際に会ってすぐに好きになれなければ、

あれ?この人は違うかも

と早々に判断を下してしまうようになってしまいます。
そもそも一目惚れなんてなかなかあるものではありませんし、そんな探し方をしていたらいつまで経っても結婚はできません。」

 

「じゃー“好きになりそう”という視点で相手探しをしてはいけないんですね」

「そうです、

一瞬で恋におちようとするのが駄目

なのです。
お見合い結婚は先ずは好きでもない相手とお見合いをします。
生理的に無理だと思う相手でなければ、気持ちなんて無くて大丈夫です。
お見合いで会ってみて嫌じゃなければもう一度会ってデートしてみる。
デートしてみて嫌じゃなければもう一度デートしてみる、その繰り返しです。
そして、お互いに好きになった時が結婚なのです!

  • 好きになりそうじゃなかったらお見合いしない
  • 好きにならなかったら交際に入らない

そんな婚活をしている人はお見合いもできないですし交際にも入れません。
結果として結婚もできないのです。」

 

「結婚は気持ちが大事だから好きになるかどうかを一つの基準にしていました」

 

「気持ちはもちろん大切ですが、好意が芽生えてから行動していたらダメです。
行動をしていくなかで好意を探し、それが見つかれば結婚をするのです。
もし見つからなければ次の相手に行けばいいだけなのです。」

 

「じゃぁ全然タイプじゃないですがこの10人から選んでみます」

 

「ちょっと言葉にトゲがありますが・・・
もし運命の人がいればその顔も好きになってしまうんです。
いや、運命の人と出会えれば顔がタイプかどうかなんてどうでもよくなりますよ!」

 

人はびっくりするぐらい一目惚れをしません。
若い頃は比較的あるかもしれませんが、30歳を超えるとまずないでしょう。
また初対面で「私この人と結婚するかも」というインスピレーションを感じ結婚に至る人がいるのは事実です。
でも誰にでもそれが起こるわけではありませんし、そんな能力が全員にあるわけではありません。
もしかしたら、そんなものはただの偶然ということもありえます。
もしそんな能力が人間にあるとすれば、誰も結婚には困らないはずですし、離婚だってこんなに多くないはずです。自分が好きかどうかという気持ちによる判断で相手選びをしてしまうと、いつまで経ってもその線を超える人は現れません。
運命の人に出会えたとしても一目惚れするとは限らないのです。

さて、お見合いへの一歩を踏み出す覚悟をしたA子さん。
このまま無事に相手の男性を選ぶことができるのでしょうか。
つづく

 

 

→成婚体験談「魅力探し編」第10話へ

※この話は実話をもとに、登場人物が特定されないよう脚色してあります。

仲人士 高橋宏仁

結婚相談のプロとして、幸せな結婚、そして幸せな結婚生活を送るための秘訣をアドバイスし多くの会員を幸せに導いている。

NPO法人全国結婚相談業教育センター正会員

日本仲人協会 豊橋南支部長

高橋宏仁結婚相談室 代表

 

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